パンダのため息

老舗文芸出版社「パンダ舎」(仮名)で働いている「鞠小路まり」どすぇ。  出版ギョーカイ驚愕そして騒然の内幕暴露! もたまにあるかもよん。 でも、キホン的には読んでもためにならないよ〜んだ。


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小説家には各々メインバンクならぬ「メイン文庫」があり、
複数出ている場合はたいてい「メイン文庫」のほうが売れます。
1人で何作も収録されている作家は出版社にとっては売り出しやすいから、ですね。
なので、
その作家と関係が薄かった出版社がようやく連載や書下ろしをゲットし、
単行本ひいては悲願の文庫を刊行したとしても、
やがてその作家のメイン文庫から2次文庫が刊行され、
結局元の文庫は絶版、メイン文庫のほうが長く売れる、というケースが多いのです。
まさに、弱肉強食の世界。
逆に、2次、3次……となるごとに、どんどんマイナーな文庫になっていく作家もいます。
(B)で書きましたが、
作家は新原稿を書かずに、そして出版社は新原稿を取らずに、お手軽に新刊を刊行でき、
新刊となればとりあえず2週間くらいは書店で平積みされて多少は売れるので、
これを繰り返しているというわけ。
しかし、こういう作家は棚差しやフェアが強い大手の文庫ブランドにとっては、
「売り出しにくい」と敬遠され、やがてそれらの作品は絶版になってしまいます。
多作でかつ著名な作家の文庫が意外と入手しにくかったりするのは、
こういうケースがほとんどです。

今日で2006年の記事はおしまいです。
お読みいただきありがとうございました。
次は1月5日の予定です。
それでは、よいお年を……

同じ作品が複数の文庫に収録される理由について。
まだあります。

(C)元文庫が絶版でなくても出るときがある
この場合、同時期に複数の文庫が存在することになりますので、
(A)と同じ状況なのですが、
「著作権が切れていない」
というのがとっても大きな違いなのです。
なぜそんなことになるか?
   a 1次文庫がマイナー文庫の場合
    メジャー文庫にとってはマイナー文庫の刊行は無視(!)。
    いわばそれは「1.5次文庫」なので、
    “お茶の葉”もまだ旨みが残っているのです。
    それに、
    「マイナー文庫は立場が弱いので作家に強く言えない」
    という事情もあります。
   b 文庫同士のブランド力が対等の場合
    この場合、元の文庫出版社の反発は必至。
    なので、この場合は往々にして政治的な事情があったりします。
     たとえば、
      1 元の出版社と作家との関係が悪化した
      2 別の出版社と作家との関係が親密化した
          たとえば、その作品の映像化を根回ししたなど。
      3 バーター(お互いに2次文庫を出し合う)
      など……

こういう場合はたいてい、
「2次(3次)文庫の出版社が
1次文庫(又は単行本刊行出版社)に数%のロイヤリティを支払う」
という契約を締結しています。
(つづく)

引き続き同じ作品が複数の文庫に収録される理由について。
次に、
(B)絶版になったので別の文庫で新刊として刊行する
これは、ミステリーや時代小説を中心に、おもに大御所作家の作品で多いですね。
作家にとっては、新原稿を書かずに新刊が出るのでオイシイし、
出版社にとっても、苦労して新原稿を取らずに済むのでラクです。
最初の文庫を「1次文庫」、次の文庫を「2次文庫」などといいます。
なかには「5次文庫」というツワモノも。
一般的に、次が重なるにつれ文庫のブランドが落ちていきます。
そして、作品の売れ行きは、
まるでお茶の葉みたいに、だんだんと薄くなっていきます。(^_^;)
(つづく)