フロントでチェックアウトされた先生は、開口一番、
「キミ、いきなり"書け"というんじゃないだろうね。
まあ、朝食でも取ろうじゃないか」
とおっしゃいます。
あたしも人間ですし、先生も人間です。
そう言われたら、先生の指し示すラウンジに足を運ばざるを得ません。
ラウンジのソファに坐ると、先生は、
「キミ、まさか、コーヒーなんて子供みたいなもの頼むわけじゃないだろうね。
ここは、あたしに付き合いなさい」
と、いきなりスコッチのダブルを2杯注文されました。
ここは午前10時半の一流ホテルのラウンジです。
しかし、断る余裕すらありませんでした。
あたしにしてみても、
「そうか。
あたしを酔いつぶして逃げようという魂胆か。
そうはさせてなるものか」
ここまでの先生ペースをひっくりかえしたいという気持ちもあったと思います。
ほどなく、琥珀の液体が満たされたショットグラスが運ばれてきました。
(つづく)
